自分の文章を大切にすること
著者になるために考えておくこと
札幌でKindle本の著者を輩出するのが「読書と編集」のひとつのミッションです。
最近、ちょっと考えさせられることがありました。
読書と編集でお世話をさせていただいてKindleで著者になった方の中には、こつこつと書きためていたブログをもとに原稿を起こされた方がいます。ある程度たまった文章があるので、それをベースにして、もう一度読み直し、文章や写真を追加したり、再構成して本の形にするのはそれほど大きな手間にはならず、わりと早く出版することができます。
問題はベースとなるブログです。
私はブログを開設するにあたっては多少苦労しても自前のサイトを持つことを推奨しています。自前というのは、サーバを借りて、その上にWordPressなどのブログシステムを作って運用することです。
これにはお金もかかり、技術も必要となります。
では、無料のブログサービスと何が違うのでしょうか?
それは、自分の書いた文章が、本当の意味で自分のものになるかということに関係します。
無料のブログサービスでも、自分が書いたものは自分のものと思うかもしれません。本当にそうでしょうか?
サービス停止!?
例えば、そのブログサービスが急にサービス停止になるということを考えたことがあるでしょうか?
実は私は以前そういう問題に直面したことがあります。
その時はサードパーティから移行ツールが提供され、なんとか自前のサイトに記事を移行することができました。ただ、その手順はなかなか大変で、しかも同じような見栄えにすることはできませんでした。私はそれほど見た目に凝らないのでさほど問題ではなかったのですが、そのブログサービスに特有の機能を使っていたら目も当てられないということになるところでした。
コピペ地獄
もうひとつの問題は、まさに本にまとめようと思ったときに起きうることです。
たくさん書いた記事を外部にエクスポートする機能をもたないブログサービスがあります。この場合、原稿のもととなる記事を、1ページずつコピペするというような膨大な手間をかける必要があります。ページのレイアウトに凝ったりしていると、この手間はバカになりません。ページを開き、カーソルを合わせて記事の部分を選択し、コピーして、ワープロソフトやテキストエディタにペーストする。場合によってはタイトルと記事を別々にコピペしなければならないこともあります。それを数十ページから何百ページもやる。気が遠くなりませんか?
おすすめの方法は?
最初に述べたように、「自分でコントロールできる場所に書く」というのがひとつの方法です。自前のブログシステムを運用していれば、記事を抜き出す方法はいろいろあります。プラグインを使う方法もあれば、データベースから直接記事を抜き出すような方法もあります。テンプレートで凝った見た目にしてあっても、コピペするときにはシンプルなテンプレートに変えてコピペの手間を小さくするという方法もあるでしょう。なにより勝手にシステムが閉鎖される憂き目に合うことがありません。自分のコントロール下にあるということはそういうことです。
もうひとつ、自前運用は辛いなと思う方は、ブログサービスに直接書き込むのをやめて、記事は一度テキストエディタで書いて保存しておくことにし、その文章をブログサービスにコピペするという方法をとることができます。こうすることで、ブログサービスがなくなっても記事のデータは残ります。そして、ある時本にしてみようと思ったときには保存してあるデータを使うことができるのです。
自分の文章に愛着を持とう
適当に書き散らかすだけだからいいという人もいるかもしれません。
でも、その時の自分の思いを書きのこしたものはとても大事なものです。時間が経つほど価値を持つようになるものです。
気持ちがいつ変わるかなんてわかりません。せっかく書くのですから、きちんと残すことを考えましょう。
そして、そう考えながら書くことが、自分の考えを深めていくということを知ってほしいと思います。
「読書と編集」は、自分の考えや気持ちを深耕するための手段でありたいと考えています。