自分を証明するものを考える(3)
読書と編集 千葉直樹です
前回はGAFAなどの巨大企業が決済システムに参入してきたこと、そして、それはただ決済を握るというのとは少し違うかもしれないという話をしました。
ポイントは本人認証です。
この連載で話したいことの核心はこれです。
すでに各種のサービスの登録を行う時に、認証部分をGAFAに任せるものが増えてきています。サービス構築者から見ると認証機能を自前で構築するのはコストが高くなっているのです。コストの大半は個人情報を持つことによるリスクという事ができます。
このようにあらゆるサービスが一部の企業が提供する認証機能に依存するということを裏返して考えると、その認証機能によって個人の情報をすべて集めることが可能になるということになります。
この記事を書いている時点で、新型コロナウイルスCOVID-19はまだ広がる勢いを見せています。いきなり妙なことを言い出したと思うかもしれませんが、これが大きな関係を持つようになる可能性が高いです。
COVID-19はたくさんのひとがある場所に集中するリスクを顕にしました。一部の企業が準備していたリモートワークが脚光を浴びています。今の会社は人が集まって仕事をしていますが、わざわざ集まらなくても仕事ができる仕組みをつくることができることを実証しています。技術的には十分可能になっているわけです。
急速にリモートワークシフトが進み、コスト面からも集まらずに仕事をするのが当たり前になるでしょう。
会社のシステムにログインして仕事をする。やってみるとSNSを使うのとさほど変わらないということがわかるでしょう。
Facebookにも、Googleにも、Amazonにも、Microsoftにも企業活動をサポートするサービスが作られ始めています。パブリッククラウドを使うというのはその前哨戦でした。
企業活動の中にあるコミュニケーションの部分からこれらのサービスを使うのが当たり前になってくるでしょう。
その時には言うまでもなく個人認証が重要になります。
そして、この認証に要する個人情報はより個人の管理のもとに置かれるようになります。
企業が人事情報を自前で持つことすらなくなるかもしれません。なぜなら、それを管理することは多大なコストを要するからです。
個人が自分で個人情報を管理し、必要な情報だけを選んで開示する。そういうことが当たり前になるとしたら、認証に関わる要素というのは今よりも格段に重要なものになります。
勘のいい人なら気づいたかもしれません。今使っている例えばGMailのアカウント、とんでもなく重要なものになっていくかもしれません。
次回は具体的にどうなっていくのかというお話しをしたいと思います。
前回はこちらから。
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