触れることへの憧れ
どういうこと?
こういうタイトルだと、読む人それぞれがいろんなことを考えるだろうなあと思います。
僕はソフトウエアのエンジニアとして生きてきました。ソフトウエアの世界はいつも間接的にしか触れられない世界です。
もうひとつ言うと、ソフトウエアのバーチャルな世界というのは、地面からずいぶん離れた所で成立しています。
だから僕にとって「触れることができるモノ」というのはとても大切。まずはそういうことです。
さらに突っ込んでみる
ソフトウエアは役に立つものではあるんだけど、究極的にはお腹の足しにはならないんですよね。
でもね、世の中にはそういうこと、実はいっぱいあるんです。
会社に仕事に行って、自分のやっていることって誰かのお腹の足しになっているかなあって考えてみると、自分の立っている場所って「大地」みたいなものから随分離れちゃっているなあと思うことがありませんか?
全然思わないという人は、実際に直接誰かのお腹の足しになる仕事をしている人か、そんなことは全く関係ないと思っている人じゃないかなあと思います。
身近なコトをちょっと考える
コンビニに行っておにぎりを買う。
この裏にどれだけのモノやヒトが動いているのか。たまには考えてみるといいです。
お店でレジ打ってくれている人は直接見えるから想像しやすいけど、お店の棚にきれいに並べている店員さんの姿はあまり想像しないかもしれません。
バックヤードにどれくらいの在庫があるかは見えません。
どれくらいの頻度でトラックがやってきて商品を補充しているか。これはもっと見えないかも。
そのトラックはどこから来ているのか。これはたいてい知りません。
商品はどこで作っているのか。メーカーブランドくらいはわかるけど、実際にどこでどんな風に作られているのかはほぼわかりません。
商品の材料がなんで、それはどこで誰が作っているのか、まず考えません。
お店の棚にあるかないか。
それだけを見て文句を言ったりしますね。
僕も「まったく!」って気持ちに良くなります。
でもね、僕たちがいつでもモノが手に入れられるように、原料を作り、運んで、加工して、また運んで、お店に並べる。それもできるだけ安く。一生懸命考えている人たちがいます。
それで僕の手におにぎりが渡ってくる。
実はこの流れ、とても細い糸でつながっています。
僕がいつもは1個買うおにぎりを今日は2個買おうと思ってもまあ大丈夫って思うけど、お店に来るみんなが急に2個買うようになったら、そりゃ急には無理。
って考えられるためには、さっきの、長くて細い糸のことを知らなければなりません。
知っていたら、ああ、そりゃしょうがないなって思うでしょう?
ちょっとだけ心の平安が得られます。
バーチャルじゃないモノ
ソフトウエアをずっと触っていると、ともするとこういう「細い糸」のことを忘れてしまいます。
ネットワークっていつでもつながっているけど、どうしてつながるんだろう?って考えたことありますか?
光ファイバーって見たことないですよね。実は世界中をつないでいるのは光ファイバーだよって言ってもピンとこないでしょう。でもこれは事実です。Wi-Fiの先はもちろん、スマホだって、遠くてたかだか数キロ先のアンテナから向こうは光ファイバーです。そこから延々とつながってアメリカのサーバに繋がることもある。
スマホのガラスの中身。見たことありますか?
部品が両面テープでくっついてるって知ってますか?
これを知ると、すごい職人芸でくっつけている人たちがいるって想像しませんか?
もちろん機械がやっていることも多いけれど、今でも人がやっていることがたくさんあります。
両面テープ使うんだ!って知っただけで想像が大きく広がりますよね。
触れる
触れるってそういうことです。
この手で、形や、重さや、質感を感じ取れるもの。
そして、そこから想像できる世界があることです。
ソフトウエアの世界で生きていると、「触れられるモノ」のかけがえのなさに否応なく気づくことになるのですね。
だから、僕はモノに触れるのが大好きで、どうして動くのか知りたくてたまらなくて、それを知ることが楽しくて仕方がないのです。
目の前のことで精一杯ということもよく分かるけれど、ちょっとだけそういう想像をしてみてほしいなと思います。人の知恵ってすごいなあ。って思うんじゃないかな。
それで?
図らずも、今、リアルに触れることができない事態が起きてしまいました。
ストレスが溜まる情報ばかり見たり聞いたりします。
テレビの向こうで、懸命に働いている人がいます。人がやることは間違えることもある。失敗だってある。
でもこういう仕組みだからそうなっちゃうんだなって考えることができたら、改善点が見つかるでしょう。
じゃあ、どうやって改善しようか。
自分の手に触れられるものから考えましょう。
僕の憧れ。わかってもらえるといいな。
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