紙の呪縛は恐ろしい

読書と編集 千葉直樹です

それはなに?

特別定額給付金をめぐって、役所の手続きの非効率性が問題になっています。

どちらかというと、役所の処理がアップアップになって大変とか、電子申請だと余計大変とか、そういう文脈で報道されていることが多いようですが、まあ平時の気持ちで考えると、なんでそんな事もできないような事務処理になっているの?っていう大問題だと思います。

根っこを考えてみると、ようするに未だに事務処理はなんでも紙で「しか」処理していないということです。

もっと卑近な例で言えば、現金しか使わないってこと、これも同様のことですね。

無意識に紙ベースで考えているので、そこにどんな問題があるのか気づきにくいのです。しかもそれでいろんなことが回っているんだからいいじゃんと思ってしまう。これは思考停止です。

その結果起きていることは、極論に聞こえるかもしれませんが、我々の可処分所得がどんどん減るということです。

問題はなにか?

紙で処理が回るからいいじゃん。

じゃあ、紙に呪縛されるとこうなります。

まず、紙に記入しなければならないですね。これはちょっと面倒だからワープロでとか表計算ソフト使ってってことになるんだけど、ここでデジタル化したぜ。うぇーいと言ってすごいことをやっている気になる。

もうちょっと進んで、これを電子メールとかで送る。これでインターネットつかってるぜ。うぇーいてもっとすごいことをやっている気分になる。

そして、ここが問題なんですけど、受け取った人は、それを印刷して、なんか別のシステムつかって目視チェックしてですね、補足入力して、次の処理につなぐ。

それは無駄だ。ペーパーレスだからな。画面で見てチェックしろ。ってなる。パソコン2画面にして作業効率アップだぜ。うぇーいってやっている(それすらやっていないことも多いけど)。

あれ?処理件数増えたら回らない。人手が足りない。ブラック職場だ!

ってなっている。

どこから変なのでしょう?

それは一番最初からです。

紙に手書きはとりあえず論外として、ワープロだ表計算だ(マイナポータルだ)っていうところから間違いが混じってきています。

紙で考えているとこうなる

ワープロ使っても、表計算使っても、その他のシステム使っても、そこにあるのは仮想的な紙。

そういう状態だとだめなんです。

なにがだめなのかというと、作った情報がその後自動的に処理できないからですね。

その上、一番最初の情報入力の時点で十分な不正値チェックが行われない。

紙がエラーチェックしてくれるなんてありえないのは当たり前ですから、あとでチェックしましょう。この考え方がすべての処理を後回しにする弊害を生んでいるのです。

この紙の発想で、いくらITっぽいモノを使ってもダメです。

情報は入力される時点で完璧にする。そのためにどんな工夫ができるかを考える。まずそこからですね。

入力情報にエラーが無ければ、その後人間が目視でチェックするとかなんの意味もないからやめることができます。これが自動化。

ハンコとか出てくる余地はありません。

入力してしまえばあとは自動で目的の処理まで実行されるように設計できるようにすることが紙の呪縛から逃れる方法です。

もちろんそんなに簡単じゃない。でもやればできる

そういうやればできることを僕たちはサボってきました。その結果が今の社会ということになります。

いろんなところで少しずつ人の手がかかっている。ほんとうは自動化できるのにしないで人がやっている。悪く言うといろんな段階でみんなが中抜して原価をどんどん上げている。雇用がどうこうという人がいるだろうけど、実は単純労働から抜けられない罠を作っているだけなのです。もっと付加価値の高い仕事ができるようになってもっと高い収入を得るという機会を奪っているのです。これがすなわち可処分所得がどんどん減ることを意味しているわけです。薄利多売ならぬ薄利少売をやってて豊かになりましたって話は、まあ聞きませんね。

ホントはこうやります

特別定額給付金の場合は、ホントはこうやるんです。

マイナンバーカードは発行した時点で本人確認がされています。パスワードが入力できたら本人。

給付金の支払対象になる人はマイナンバーでチェックできますから、対象者はこうなっていますって画面に出します。

今回は銀行口座の紐付けが必要ですから、口座情報を入力します。この情報を銀行に問い合わせて確認します。そのときに銀行の認証システムを使用します。

受取人のマイナンバーから引ける名前と、銀行の口座名義人の名前が一致するならOKとする(これは今回のルールだからね)。

画面上で問題がないので申請できます。となったら、本人の意志として、「申請」を行います。ボタンポチッ。

以上、申請終了。

役所では、特にやることありません。振り込むだけ。ここも自動化しちゃっていい。

これ、別に無理なところはありません。

もちろん、銀行もハンコ主義をやめて、オンラインで認証できなきゃいけませんけど、ホントはやれることです。だってATMでお金出す時にやっているんですからね。何十年も前から。

きちんとシステム化すると、

  1. マイナポータルに行く
  2. マイナンバーカードでログインする
  3. 給付金の対象者を確認する
  4. 振り込んでもらう銀行から認証もらう
  5. 申請

これだけで、口座にお金が振り込まれる。

えーそんなの単純過ぎるよありえないというのは簡単です。

確かに例外事項は出てきます。対象者が正しくない時にどうするのか。振込先が本人じゃない場合はどうするのか。

でもこれ、例外処理なんですよ。大半の人は関係ないのです。

この申請手続きで確認処理はほぼ終わっているので、あとの処理は自動でできちゃいます。

役所でどんな確認処理やっているのかを僕は知らないのでやたらと単純化している部分はあるでしょう。でも、こういう処理を目指してシステム設計し、実装していたら、この手続は自動になります。例外処理は別に処理をすればいいんです。

今回のマイナポータル申請の場合は、上記の5つの申請手続きのうちの、3番と4番が、紙ベースなんですね。だから人が目視で確認する。そこがオーバーフローしている。

郵送申請は3番が済んでいるから、4番だけ目視チェックしています。

現状で郵送申請が早いというのはそういうことです。でも、郵送申請は、申請書作るのに何日もかかって、郵送往復に何日もかかって、絶対やらなければならない目視チェックに何日もかかるんです。

これ、役所の窓口でやるにしても同じことです。入力時点でエラーチェック済ませたら申請後の処理は単純なデータ処理なんです。要所要所に監査ポイントとなるログを残しておくだけでいい。

紙でやっている処理は転記が発生するので要所要所で人の目で確認しなければならなかったのです。エラーの検出を確実にするために何人もの人の目を通して、そのたびにハンコを押していたんです。紙しかなかったときはそれが合理的だっんだけど、今はハンコを押すことが自己目的化しているのですね。

でも、今は最初に正しい情報が入力されたら、原理的にあとは自動処理できる。これ、コンピュータが得意とする処理です。AIとかいうレベルじゃないんですよ。何十年も前から可能な普通のコンピュータ処理です。

オンラインの仕組みをきちんと作れば人がやる処理はまあ15分もあればできるでしょう。郵送だと2ヶ月位かかるのは現状を見ればわかりますね。

もちろん、マイナンバーにもともと口座番号が紐付いていたら、今回の場合は申請すらいらなかったわけです。言ってもしかたがないことではありますが。

紙をやめることは自動化すること

自分のやっている仕事が、紙由来の無駄な仕事なんじゃないか?

こう考えることが必要です。

紙は物理的なものですから、それを動かすコストが実は莫大です。

そして、紙は自動処理できません。もちろんOCR使ったりできますけど、そもそもデータとして入力できるデバイスを大半の人が持っている現状では本末転倒です。

入力段階で大半のエラーを取り除くことができれば、その後の冗長なチェック処理はそもそも不要になります。

後で問題が起きたなら、それを修正する手段を作ればよいだけですね。

紙で仕事している現場の人は、こんなの自動化できるわけがないと必ず言います。そりゃそうです。そもそも事務手順が自動化を前提としていないのですから。そして、それで仕事が回っているから良いと言います。

でも、それ、仕事じゃないです。作業です。コンピュータがやれるので給料がもっと下がっても仕方ないものです。

仕事してください。

そういうと文句言いますね。例外なく。

文句言う人はだいたい社会が悪いとか政治が悪いとか言うんです。これは面白い傾向ですね。

極端なことを言っていると思う方が多いかもしれません。

でもこういう自動化を徹底的にやってきた企業が国家をも超える力を持ち始めているのは厳然たる事実です。

わかりやすい例はあなたもちょこちょこ使っているアマゾンです。

自分の仕事が紙ベースになっていないか?

紙の呪縛から脱却するためにできることはなにか?

真剣に考えるときが来ていますよ。

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