触れるモノが良いね
読書と編集 千葉直樹です
あえて触れるって?
世の中には触れるもののほうが多いというか、よほど特別なものじゃない限りは触れるものが当たり前だと思うんですけど、僕はコンピュータのソフトウエアに関わることを40年近くやっていて、直接触れないモノを扱ってきたので、触れるものと触れないものというのを強く意識することがあります。
ソフトウエアも触るという言い方をしますが、間接感が強いですね。
今でこそスマホなどで直接画面を触ったりすることも多いですが、パソコンでキーボードやマウスを使うというのは間接的にソフトウエアの動きに触れることになっているわけだし、頭の中にあるものをプログラミング言語という形で表現するというのもかなり間にさまざまなモノが挟まったことなのです。
だから、ソフトウエアをずっとやっていると、実際に手で触ることができるモノというのへの渇望みたいなものが芽生えてきます。
徐々に現実化する世界
スマホが当たり前になったり、VRも身近になってきたりして、ソフトウエアの延長線上に直接触ることができるものもずいぶん増えました。
なかでも今、僕がとても良いなと思っているのが、3Dプリンタです。
自分の頭の中にあるものを手で触れることができる形にできるのは結構感動します。
昨日、SUNABACOというプログラミングスクール/コワーキングスペースの江別スクールに遊びに行きました。そこには二種類の3Dプリンタとレーザーカッターがあります。他にも実はセンサとソフトウエアによって動作するもの(ドローンとかセグウエイ・ドリフトとか)がいろいろあって、自由に触ることができるようになっています。
そして、マイコンボードやブレッドボードやセンサなどでなにやら作っていたりもします。
ソフトウエアが動くのはハードウエアの上です。センサから情報を取ったり、LEDを光らせたり、サーボモータを動かしたりということをプログラムからやってみると、画面で動くソフトウエアを作るのとは全く違った楽しさがあるものなのです。
IoTという言葉がある程度定着して、いつの間にかクラウドという形で中央集権化しているネットの世界から、これまで端末側であったハードウエアの方に重心が移ったネットに変わってきました。
スマホを分解してみるとわかりますが、とても小さいハードウエアにかなりのインテリジェンスをもたせることができるようになったのです。
それにつれて、情報もどこかに集める形から、物理的には分散しているけれども情報としてはひとつに見えるというようなネットの世界が実現しようとしています。
まだまだそういうハードウエアは多くないので、自分ではんだ付けしてハードウエアを作るというのが普通の時期。身の回りで必要な専用ハードウエアを身近な場所で作ってもらうような時代が来ているのだろうなと思います。
機能を作り込んだ小さなハード・ソフトを3Dプリンタで作ったモノのなかに詰め込んで、役に立つものを作る。これはとてもおもしろい世界だと思います。
ソフトウエアばかりでなんとなく鈍っている手足の感覚を取り戻せるような感じがして、やっぱり触れるものは良いなあと思うのでした。