1998年の問題意識~杉浦日向子の対談から~

読書と編集 千葉直樹です

対談:成熟社会人心得

杉浦日向子

カバーに載せた本は、文藝別冊「杉浦日向子」の増補新版です。

2018年9月に増補新版としての初版が出ています。

僕は杉浦日向子さんのファンなので、書店に並んでいたのをみてすぐに買いました。

杉浦日向子さんは、2005年に46歳で江戸に戻ってしまいました。江戸からちょっと未来を見にやってきて、「あんまり変わらないな。じゃあ戻ろうか。」と戻ってしまった感じでした。

杉浦日向子さんが漫画で描く江戸は、「ははあ、こんな感じだったんだろうなあ」と思えます。こういう時代というよりも、暮らしていた一人ひとりが浮かび上がってくるような感じなんです。

その魅力にハマって杉浦日向子さんの書籍を何冊か持っていて、カバーの本は枕元に置いて繰り返し読んでいるのです。

この本を読んでいて、ちょっと面白かったのが、天野祐吉さんとの対談でした。1998年のものです。

大人とは?

この対談、最初に「大きいこと、速いことは貧乏くさい」というテーマから始まります。「安けりゃいい」はもちろん貧乏くさい。

主に交通手段の高速化のことを言っているのですが、それは旅が消えて出張しかないというような変化のことなのですね。ビジネス一本槍は貧乏くさい。というわけです。

そこから、テレビを中心に、「若さ至上主義が薄っぺらな文化を作っている」というのですね。要するに文化が「ガキっぽくなっている」というわけです。

戦後の「貧乏暇なし」が、「金持ち暇あり」にならなくて、「金持ち暇なし」になっている。本当は「貧乏暇あり」がいいんじゃないか。っていう風に話は展開していきます。

「お金は消え物に使う」のが粋。という言葉も出てきます。あとに残るものにお金を使うのは野暮なのですね。

大人が大人らしくお金を使えない。子供の価値観のままでいる。

20年前の対談でこういうことが話されている。これ、20年経ってさらに進行してしまっている。

最近、ミニマリストなんて言葉がもてはやされたりするけれど、20年前にそういう話をしている。そして、そういう風に暮らせるようになるためには人口は今の四分の一にならなければならないなんてことも言っている。

20年経って、否応なくそういう社会になってきているところが面白いところではあるのですが、まあその是非は置いて、僕はこの対談そのものが大人の世界だなあと感じるのですね。

理屈をこねるのではなく、そういう生き方が粋なんだよ。ってごく感覚的に言える。もちろんその言葉には深いコンテキストがあって、そういうことがわかるってことが大人になるってことなのだと言うことができる。それが老いることの良さだと。そういうことなのですね。

若いもんには、お前らにはわからんだろう?年取ったらわかるよ。って平気で言えるようになる。若いもんは勝手にやればいいし、年寄は年寄で勝手にやる。小賢しいことをいう若いもんはひっぱたく(笑)。

最近それでいいと思うようになりました。

年をとったら「貧乏暇あり」。お金が無くても本気で遊べることがあればいい。「宵越しの金はもたない」を年寄りの知恵で本気でやれば経済は回るのかもしれないなあと思うのですね。

ほどほどに生きたら、卒業!って言って、おしまい。

なかなか理解されないだろうけど、そういう生き方でいいんじゃないかと杉浦日向子さんを通して江戸を見ると思うのでした。

杉浦日向子さんの作品を読んだらたぶんわかりますよ。だから読め!

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