当たり前だと思っている動線を考え直す
読書と編集 千葉直樹です

つい最近、知り合いが病院に行って、その物々しさに驚いたと言っていました。
体温計測に手指消毒とかゾーン分けとか入り口出口を分けたりとか。
その話を聞いて、ちょっと考えました。
病院も、今回のような感染症対応にはなっていなかったのだということです。
新型コロナがどのような感染症かはまだ確定していないし、これまでの感染症と大きく違うのかどうかもよくわからないわけですが、大きな病院は感染症にもきちんと対応できるようにしておく必要が出てくるなあと思いました。
そういう視点で今の病院の作りを見てみると、入り口は事務処理が円滑に進むように作られているような気がするのですね。もちろん、これはとても大切なことですが。
でも、やはり病院の第一のミッションは様々な疾病や怪我に対応することなので、そちらを優先して人の動線を考える必要があるのだろうと思いました。
もう受付は自動で良いと思うのですよね。そして、精算も自動でいい。実際、そうなっている病院はすでにありますし。すると入り口段階でのゾーニングはさほど難しくないはずです。最初からそういう風に動線設計すればいい。入り口で感染症が疑われるケースを分離するだけで感染症のリスクはずいぶん下げられる。
受付とか精算の窓口にビニールがぶら下がっているようなちょっと見た目の良くない状況もそもそもなくなります。
自動機は使えない人がいるという心配をする人もいるでしょうけど、案外慣れるし、わからない人のために窓口をひとつ作ればほとんど差し支えないでしょう。
今の問題は、保険証のチェックですね。月イチ、人が目視で行っている。これが電子化されたら自動受付の問題はほとんど無くなります。
初診をどうするかはちょっと課題ですが、これ、スマホなんかで事前申し込みでできそうだし、そもそも初診はオンラインを標準にするということもできるはず。精算もキャッシュレスなら改めてやる必要がなくなります。
ずいぶん不要の接触が減らせることがわかりますね。
こう考えるとデジタル化をすすめることで病院の機能と安全性を高めることができます。
今の構造は古い時代の常識がベースになっていて、とりあえず困らないからそれが維持されているけれど、今回のように「困る」ことが起きてみると改善できるところが見えてくるわけですね。
病院に限らず、さまざまな施設で同じようなことはあるでしょう。
人の流れから変えられることを考えると、ビジネスの種はたくさん見つかるような気がするし、実際にそれをやっているところが儲かっているのでしょうね。
常識を疑うのは平穏無事なときには難しいですが、今のような危機が目の前にあるときは案外やりやすい。
これも一種のピンチはチャンスというわけですね。